更年期障害を東洋医学で考える|症状の原因と対策(ツボ、食養生)を教えます

更年期女性は、家のこと、仕事、子供や親のケア、孫の面倒など、なんやかんやと忙しくて、体調がいい時ばかりではなく、こころも不安定になりがちです。

それでも毎日必死に人生突っ走って、気がついたら、なんか不調‥‥
そう感じることはありませんか?

更年期障害の原因は、単純にエストロゲンの減少だけではありません。

更年期を、ちょっと違った東洋医学の視点から考えて、つらい更年期症状の原因と対策をお伝えしていきます。


【目次】

※更年期の定義、主な症状、主な西洋医学的治療法を知りたい方はこちらをご覧ください。


● 東洋医学で考える更年期とは

現代の医学において、更年期障害の治療のファーストチョイスは、ホルモン補充療法です。

閉経が近くなり、女性ホルモンであるエストロゲンが減ってきている女性に対して、そのホルモンを足してあげようという治療です。

しかし、人間の体はとても複雑なので、不足しているものを足してあげればそれで解決するという単純なことではありません。

東洋医学で考える更年期障害は、「瘀血(おけつ)」「腎虚」「陰虚」が関係していると考えます。


● 瘀血(おけつ)の状態

瘀血は、西洋医学になない概念の1つです。
瘀血とは、血の流れが悪くなって、ところどころで停滞する状態です。

停滞した血はドロドロと澱みます。澱んだ血は、停滞して溜まった場所で病気を引き起こしたり、痛みや炎症が続いたり、熱を帯びたり、逆に冷えたりします。

瘀血が頭に停滞すれば、頭痛や目の充血、イライラ、うつになりやすく、
肩や腰、関節に停滞すれば、肩こり、腰痛、関節痛になると考えます。

特に女性は生涯を通じて「血の生き物」と言われていて、男性よりも瘀血症状が起こりやすくなります。

瘀血が子宮にできれば、月経痛、子宮筋腫、子宮内膜症、不妊症になりやすく、
瘀血が卵巣にできれば、卵巣嚢腫、チョコレート嚢胞が起こりやすくなります。

更年期を迎えて瘀血症状があると、次のような症状がみられます。

・発作的に暑くなり、のぼせやる
・頭から汗がでる
・顔が赤くなる
・動悸やめまいがする
・掌や足の裏が暑く感じる
・目が充血する
・すぐに内出血する
・すぐイライラする、怒りっぽい、頭に血がのぼる
・頭痛、肩こり、腰痛、関節痛、指が痛い
・寝つきが悪い、中途覚醒などの不眠症
・不安感、うつ症状


● 腎虚(じんきょ)の状態

更年期障害は、腎の機能低下と大きく関わっています。

東洋医学でいう「腎」は、大まかにいうと、成長、発育、性機能、水、膀胱、骨、髄、耳、髪を担当しています。

赤ちゃんが元気に成長していくのも「腎」の力であり、成人が老化していくのは「腎」が衰えるからです。

更年期を迎え、「腎」が一気に弱くなっていくと、次のような症状が目立つようになります。

・抜け毛、白髪
・骨粗しょう症、歯がもろくなる
・エストロゲンの減少、閉経
・耳鳴り、難聴
・足腰がだるい
・性機能減退
・尿漏れ
・物忘れ、集中力低下
・疲れやすい、倦怠感、意欲低下
・眠りが浅い


● 陰虚(いんきょ)の状態

東洋医学には、陰陽の概念があります。あらゆるものは陰と陽の2つの性質があり、お互い強弱を変化しながら、世の中、世界、宇宙がうまく出来ていると考えます。

日が昇れば陽が強まり、日が沈むと陰が強まる。
夏は陽が強まり、冬は陰が強まる。
太陽と月、朝と夜、静と動など、お互いが偏りすぎないようバランスを取りながら世の中は常に変化しています。

人間のからだにも陰と陽があります。

車のエンジンとラジエーターをイメージすると分かりやすいと思いますが、人間も、動いてばかりで暴走しないように、鎮静、休息でこころと体のバランスを保っています。

「陰虚」とは、体の中で「陰」が弱くなってしまっている状態です。

ラジエーターの冷却機能が低下して、エンジンを冷やすことができなくなると、エンジンがオーバーヒートするように、人間も、「陰」が減ると、こころも体も熱を持つようになります。

更年期を迎え、「陰虚」が強くなると、次のような症状が出やすくなります。

・のぼせ、ホットフラッシュ、寝汗
・赤ら顔、微熱が出やすい
・上が熱くなり、下は冷たいままで、足が冷える
・熱で乾燥し、ドライアイ、ドライマウス
・喉の渇き
・皮膚の乾燥、粘膜の乾燥
・水分の減少で肌のたるみ、しわ
・から咳
・眠りが浅い、中途覚醒、不眠症

以上、東洋医学では更年期を、おもに「瘀血」「腎虚」「陰虚」で考えながら、困っている更年期症状に対応していきます。


● 更年期症状におススメのツボ

・瘀血を改善するツボ(三陰交、血海)

血の流れが滞る「瘀血」の状態は、万病の元とも言われています。
更年期以外でも、女性は「血の生き物」。血の流れは常に意識していきましょう。

① 三陰交(さんいんこう)
場所は、足の内くるぶしから自分の指4本上で、脛骨という骨のキワにあります。内くるぶしから脛骨の骨のキワを指で軽く撫で上げていくと、ペコっと凹みを感じる方が多いです。

② 血海(けっかい)
場所は太ももの内側で、膝のお皿の上から自分の指3本上です。押すと痛みを感じる人が多いと思います。

※特にストレスを感じやすい方へ。

血が滞る最大の原因はストレスです。特にストレスフルな方には、三陰交、血海に加えて、太衝のツボもおすすめです。

③ 太衝(たいしょう)
場所は足の甲で、親指と人差し指の骨がVの字に交差するところの凹みです。ストレスフルの状態だと、痛みを感じることがあります。

ツボは左右対称にありますので、左右両方とも刺激してあげましょう。
指でゆっくりツボ押しもいいですし、お灸が慣れている方は、お灸もおすすめです。

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・腎虚を改善するツボ(太渓、腎兪)

腎を補うことは、エイジングケアにもなります。また、体が弱いお子さんや、体力が消耗してしまった方にもおススメです。

① 太渓(たいけい)
場所は足首の内側で、内くるぶしとアキレス腱の間の凹みです。

② 腎兪(じんゆ)
場所は背骨の中心から自分の指2本外側で、骨盤の骨から背骨2個分上にあります。

ツボは左右対称にありますので、左右両方とも刺激してあげましょう。
このツボはお灸との相性がとてもいいので、もしあればお灸をおススメします。

腎兪は、自分ではケアしにくいところですので、仰向けに寝てテニスボールを軽く押し当てるのもおすすめです。

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・陰虚を改善するツボ(復溜、湧泉)

陰を補って、体を潤していきましょう。
髪のパサつきや、お肌の乾燥、しわ、たるみにもおススメです。

① 復溜(ふくりゅう)
場所は足首の内側で、内くるぶしから自分の指3本上で、アキレス腱の上です。

② 湧泉(ゆうせん)
場所は足の裏で、足の指をグーに曲げた時にできる凹みです。足の指の付け根からかかとまでを3等分して、指の付け根から1/3のところです。

ツボは左右対称にありますので、左右両方とも刺激してあげましょう。
このツボもお灸との相性がとてもいいので、もしあればお灸をおススメします。
足の冷えにも効果的です。


● 更年期症状におススメの食養生

私たちの今の状態は、今まで何を食べてきたのかが反映されています。
極端な偏食、過食、不食、暴飲暴食、無理なファスティングは、体にも心にも影響します。
食事は、その内容も量もバランスよく摂るのが、基本中の基本です。

更年期症状でお悩みの方は、血流をよくするもの、腎を補うもの、体を潤すものを取り入れると、食養生になりおススメです。

・瘀血を改善する食材

黒豆、納豆、カカオ、栗、玉ねぎ、ちんげんさい、オクラ、ニラ、ミョウガ、うこん、プルーン、ブルーベリー、桃、いわし、うなぎ、鮭、さんま、牛肉、甘酒など

・腎虚を改善する食材

黒ゴマ、枝豆、カリフラワー、ごぼう、ブロッコリー、キャベツ、マッシュルーム、プルーン、葡萄、ブルーベリー、うなぎ、えび、ししゃも、すっぽん、たい、どじょう、なまこ、鶏肉、豚肉など

・陰虚を改善する食材

やまいも、黒豆、エリンギ、オクラ、ニンジン、ほうれんそう、梨、鮎、いか、牡蠣、カニ、ツバメの巣、はまぐり、ぶり、鴨肉、豚肉、珠緒、チーズなど


● おわりに

東洋医学から考える「更年期」、いかがでしたでしょうか?

更年期は、思春期と同じように、こころも体も変化が大きい時期です。

基礎体力、代謝の変化
容姿の変化
家族関係の変化
仕事の変化
責任や立場の変化
人間関係の変化

更年期世代には、様々な変化が振りかかってきます。
避けられないものもありますが、変えられることもあります。

更年期世代で不調を感じるようになったら、まずは出来ることからやってみましょう。
それには、無理しすぎていないか、偏りすぎていないか、まずはご自身の生活習慣の見直しが大切です。

規則正しい生活は、健康に生きていくための基本です。

更年期だからと過度に不安にならず、出来ることから生活を改善しながら、時には専門家に相談しながら、調子がいい状態を手にしていきましょう。

※更年期の定義、主な症状、主な西洋医学的治療法を知りたい方はこちらをご覧ください。


● Information

麻布十番鍼灸マッサージサロン happysleep hariayakoは、更年期女性を応援する鍼灸サロンです。
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(鍼灸師・マッサージ師:はりあやこ)

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