寝つきが悪い…
寝てもすぐに目が覚める…
朝早くに目覚める…
熟睡できない、日中の眠気など、
睡眠の質に悩みを感じている方は、大変多くいらっしゃいます。

普段の生活環境や体質によって、不眠症の症状も様々です。
今回は、東洋医学から考える不眠のタイプを、3つに分けて、おすすめのツボをご紹介いたします。
● 不眠症タイプ別、おすすめのツボ
①ストレスが多くて寝つきが悪いタイプ
次のような症状がある方は、
東洋医学では、
「気滞(気が滞っている状態)」
「血瘀(古い血が流れない状態)」タイプの不眠症です。
- ストレスや考え事が多い
- マルチタスクで日々慌ただしく過ごしている
- イライラしやすく、怒りっぽい
- せっかち
- 目が充血しやすい
- 体の力が抜けずらい、過緊張タイプ
- 慢性的な肩こり、腰痛、頭痛
- 血圧高め
- 脈拍が速い
- 生理痛やPMS(月経前症候群)がある
マルチタスクで常に脳が興奮していると、交感神経がずっと高いままになり、夜になっても副交感神経が上がってきません。そうすると、「休め」のスイッチが入らず、寝つきが悪くなります。
ストレスを抱えすぎていると、からだを流れる「気」が滞ってしまい、悶々として、すぐには寝つけません。
「気」が滞ると、体を滋養している「血」も滞るため、体の修復がうまくいかず、脳の疲れもとれにくくなります。また、女性であれば、生理不順や子宮筋腫などの婦人科系のトラブルも多くなります。
そんな、「気滞」「血瘀」で、寝つきが悪い方におすすめのツボは、「太衝」と「合谷」のセットです。
●太衝(たいしょう)

場所は、足の甲で、親指と人差し指の2つの骨(中足骨)が交差して、Vの字に合わさる手前の凹みです。
押すとツンとした痛みを感じる方も多いと思います。
「太衝」は、「疏泄作用」といって、全身に流れている「気・血・水」をスムーズに流す作用があります。
また、イライラや怒りの感情と深く関わっているツボですので、刺激することで、感情を心にため込まず、気持ちを安定させる作用があると言われています。
●合谷(ごうこく)

場所は、手の甲で、親指と人差し指の2つの骨(中手骨)が交差して、Vの字に合わさる手前の凹みです。
押すと、気持ちいがいいことが多いです。
「合谷」は、腸内環境をよくしてくれるツボとしても有名です。
また、呼吸器にも関係しているツボですので、喉のトラブルや免疫力アップにも効果的です。
さらに、肌荒れやニキビといったお顔のトラブルにもよく使われていて、美容のツボとしても有名です。
「太衝」と「合谷」をセットで刺激すると、「気のめぐり」と「血のめぐり」がよくなると言われています。
中国では、このセットを「四関穴」といい、痛みのケアからメンタルケアまで、使用頻度が大変高いツボです。
ストレスや、うつ気分、慢性的な痛みを緩和し、寝つきをよくしてくれる作用が期待できます。
②疲労困憊なのに眠れず、夢を多くみるタイプ
次のような症状がある方は、
東洋医学では、
「気虚(気が足りない)」
「血虚(血が足りない)」タイプの不眠症です。
- 疲れやすい、力が入らない
- 意欲低下
- 息がきれやすい
- 食欲がない
- すぐに汗がでる
- 声が小さい
- 下痢しやすい
- 胃下垂、脱肛
- 立ちくらみやめまいが起こる
- 顔色が悪い
気力も体力も使い果たして電池切れ、あるいは食が細いなどでエネルギー不足が続くと、深く眠ることができず、寝てもすぐに目が覚めてしまいます。
疲労困憊なのにぐっすり眠れない、夢ばかり見て疲れがとれない、といった方におすすめのツボは、「足三里」と「三陰交」のセットです。
●足三里(あしさんり)

場所は、スネの骨(脛骨)の外側にある筋肉(前脛骨筋)で、膝のお皿の下から、ご自身の指4本下にあります。
押すとツンとした痛気持ちいい感覚があると思います。
「足三里」は、胃腸の調子をよくしてくれる代表的なツボです。
東洋医学では、「生きるエネルギー」=「胃腸の強さである」と考えます。
滋養強壮のツボともいわれ、消化吸収能力を高め、全身の疲労を回復し、睡眠の質を高める効果が期待できます。
また、体の水分バランスを整える作用もあり、全身のむくみを改善する効果も期待できます。
「足三里」は、松尾芭蕉が毎日ここにお灸をして東海道を歩いたと伝わる、健脚のツボとしても有名です。
●三陰交(さんいんこう)

場所は、スネの骨(脛骨)の内側のライン上で、内くるぶしの骨の先端からご自身の指4本上にあります。
内くるぶしから、骨の際のライン上を、指で軽く下から上になでていくと、ペコっと凹みを感じる方が多いと思います。
「三陰交」は「女子のツボ」「血のツボ」とも言われていて、生理痛や生理不順、婦人科系のトラブルにも効果が期待できます。貧血気味の方にもおススメです。
寝てもすぐに目が覚めてしまったり、夢を多く見るといった症状は、東洋医学では血が不足している状態にあると考えます。
体に血液を満たして、脳への血流も十分であれば、深い眠りにつけると考えます。
③体がほてる、寝汗をかく、年齢とともに眠りが浅いタイプ
次のような症状がある方は、
東洋医学では、
「陰虚(陰が弱い)」タイプの不眠症です。
- 体に熱がこもりやすい
- のぼせ、ほてりがある
- 寝汗をよくかく
- 口が乾きやすい
- 喉がよく渇く
- 冷たい飲み物が好き
- 更年期
- 胸がざわざわする
- から咳がでる
- 目が乾きやすい
- 皮膚が乾燥ぎみで、かゆい
東洋医学には、「陰陽論」という考え方があります。
世の中にあるあらゆる事物を、陰と陽の2つの性質に分けた考え方です。
2つは対立の関係でありながら、お互いを補完しあうことで、世界はバランスのとれたものに統一されています。
例えば、上下、左右、天地、昼夜、太陽と月、明暗、寒熱、動静、男女、積極性と消極性、外向性と内向性などです。
昼と夜の関係性は、昼は陽で、夜は陰です。活動的に動く日中は陽の力が強くなり、静かに眠りにつく夜は陰の力が強くなります。
陰は、陽の力をクールダウンさせる作用があります。
陰の力が弱い「陰虚」の状態が続くと、日中の陽のパワーを冷ます力が足りなくなり、夜に眠りにつくパワーが弱くなります。よって、昼間の興奮が鎮まらなくて、寝つきが悪くなったり、寝てもすぐに目が覚めてしまうという症状がでてきます。
そんな、「陰虚」タイプで、眠りが浅い方におすすめのツボは、「復溜」と「湧泉」のセットです。
●復溜(ふくりゅう)

場所は、足の内くるぶしからご自身の指3本上で、アキレス腱のキワのライン上にあります。
「復溜」は、昼間に活動した体をクールダウンさせて、感情を静かに沈めてくれるツボです。
体にこもっている余分な熱をさましてくれますので、のぼせ、ホットフラッシュ、寝汗を抑える効果が期待できます。
更年期を迎えている方には特におすすめです。
また、体を潤す作用もあるので、年齢にともなう肌の乾燥やかゆみ、髪のパサつきなどのケアにもおすすめです。
●湧泉(ゆうせん)

場所は、足裏を三等分して、指の付け根から1/3のところにあります。足の指をグーにした時にできる足裏の凹みです。
「湧泉」は、全身の水分バランスを整えるツボです。
からだに熱がこもりやすい、喉がよく渇く、口が乾きやすい、肌が乾燥しやすい方には、体を潤す作用があります。
また、むくみや痰が多い方には、余分な水を排泄する作用があります。
「復溜」「湧泉」は、足腰が弱る、耳が遠くなってきた、物忘れ、骨粗しょう症など、エイジングケアにもよく使われるツボです。
歳を重ねて、なかなか眠れなくなってきたと感じる方におすすめです。
●ツボの押し方について
- ツボ押しは、強すぎず痛くない程度の力で行いましょう。
- ツボは左右対称にあるので、両方とも刺激してあげましょう。
- 親指で5秒ほど押して離す、を5~6回行うといいでしょう。
- 呼吸法に合わせてツボ押しをすると、リラックス効果が高まります。(息を吐くときにツボ押しをして、息を吸う時に圧をゆるめる)
- 指が疲れるときは、指圧棒のようなものを使用してもOKです。

●おわりに
不眠症のタイプ別に、おすすめのツボをご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?
人間が眠くなる理由は、主に2つあります。
①疲れたから眠くなる(恒常性の維持)
②夜になると眠くなる(生体時計機構)
単純な理由のようですが、ひとくちに不眠症といっても様々な症状があるので、「眠り」というのは、簡単なようで複雑です。
「眠れない…」と感じたら、ご自身の体質や日々の生活、年齢などをふまえながら、今回ご紹介したツボ押しをセルフケアのひとつに取り入れてみてはいかがでしょうか?
不眠症は、こころとからだからのSOSです。
今の自分は、どこか無理をしていないか、我慢をしすぎていないか、生活や環境、そして思考に偏りがないか、ぜひ、ご自身を見つめ直してみてください。
ご自身をしっかりいたわりながら、夜はぐっすり寝って、昼間はしゃっきり活動!
そんなバランスの取れた睡眠リズムを手に入れることで、すこやかで充実したライフスタイルが送れますように✨✨

今回取り上げた、【東洋医学の不眠症タイプ別、おすすめのツボ】の他に、
どなたでも使える【不眠症におすすめのツボを5つ】は、こちらでご紹介しています。
ぜひ合わせてご利用くださいませ。
ツボ押で 今日もhappy💕
● Information
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(鍼灸師・マッサージ師:はりあやこ)



