五月病を東洋医学で考える|疲労回復とストレスリリースのツボをご紹介!

5月の大型連休が終わって日常の生活が戻ってきました。
次の祝日が7月の「海の日」なので、それまで2カ月以上あると思うと何だかちょっと絶望感…
「仕事に行きたくない」「学校に行きたくない」など、モヤモヤした気持ちを抱えている人も多いかと思います。

また、今年は連休明けにコロナの分類も変わり、リモートワークが減って会社へ行く日が増えたり、学校の授業がリモートではなくなったり、なんとなく控えめだった飲み会、会食が増えることで、ちょっとした人間疲れを感じている方も多いのではないでしょうか?


●春はお天気も人間関係も変わりやすい

春は季節の変わり目で、気圧の変動や気温差が大きかったり、風が強かったりする季節です。
地球レベルでの環境や気候変動は、必ず私たち人間にも影響を及ぼします。外からの環境ストレスによって、なんとなく春に不調を感じやすいという方は多いのではないでしょうか。

また春は、人生の転換期でライフイベントが多くなる季節です。

卒業、入学、就職、昇進、異動、転勤などのイベント事が多く、新しい人間関係への適応に多くのエネルギーを使う時期です。がんばろう!と、無理が続いてストレスも疲労も蓄積しやすい時期とも言えますね。


●五月病って病気?

五月病は、西洋医学では「適応障害」や「うつ病」ととらえています。

季節の変化、環境や人間関係の変化に一生懸命適応するためにエネルギーを注ぎ、張りきって新年度を乗り越えてやってくるのが春の大型連休ゴールデンウィーク。GWの連休で、今まで頑張ってきた緊張感が一気にとれたり、生活リズムが変わることで、体調もメンタルも崩しやすくなってきます。


●五月病の症状

・体がだるい、疲れが取れない、倦怠感
・やる気が起きない
・すべてが億劫、面倒くさいと感じる
・なんとなく不安
・うつ気分
・よく眠れない、寝つきが悪い、途中で目が覚める
・夢を多く見る、寝起きが悪い
・食欲がない
・めまい、頭痛、肩こり

などなど、主には疲労や自律神経、ホルモンのアンバランスからくる体の不調と、メンタルの不調の両方の症状が見られます。


●東洋医学から考える五月病

東洋医学では五月病を、ざっくり「気の流れ」と「血の流れ」の問題と考えます。
「気」も「血」も、主に2つの原因で流れが悪くなって、体調不良になります。

① そもそも足りてない(消耗系)

極度の疲労、無気力、気持ちは焦るけど動けない、食欲不振、不眠、夢が多い、などの症状は、東洋医学では「気虚」といいます。
心も体もパワー不足で電池切れの状態です。元気が不足している状態にあるので、「補気」(パワーアップ、充電)する必要があります。

② 詰まって流れが悪い(渋滞系)

イライラが強かったり、思い通りにならずに悶々としていたり、頭痛や肩こりがなかなか取れない状態は、東洋医学では「気滞」といいます。
気の出口がなく、体のなかに詰まって渋滞を起こしている状態です。気がスムーズに流れなくなると、同時に血流も悪くなる(東洋医学では「瘀血」といいます)ので、血行不良、冷え、生理痛、月経不順、PMSなども起こりやすくなります。
詰まりが原因ですので、気や血を流す、巡らせてあげることが大切です。


●春は「肝の気」がパワーアップ

季節と体の関係性を考える東洋医学では、春は「肝」と強い結びつきがあります。
西洋医学の「肝臓」にあてはまりつつ、臓器や部分的なものだけではなく、精神性を含めてもっと幅広い概念を持っています。

春は、すべてのものが活動を始める季節です。暖かい日差しを浴びて草木は芽吹き、上へ上へとぐんぐん伸びて成長をしていきます。
人間も同じで、冬に体の中で充実させていた「気」が、春になると外へと向かおうとします。

さぁ、やるぞ!と外にエネルギーが向いている時期なので、のびのび過ごすことが大切です。

「肝の気」は、のびのび、自由が大好きな性質を持っているので、閉じ込められたり、抑えつけられて自由に動けなくなると、とたんに具合が悪くなってきます。

倦怠感や、疲労感、無気力、うつ気分、不眠症などは、5月以外でも起こりますが、春に充実する「肝の気」は、自由奔放、想像力旺盛でのびのびした性質が特徴のため、ストレスなどで抑えられると、体もメンタルも、より不調を起こしやすくなってくるのです。


●「肝の気」は「怒り」を担当

東洋医学では、感情の種類は大きく5つに分けて考えます。
怒り、喜び、思いつめ、悲しみ、恐れの5つです。

春の「肝の気」は「怒り」の感情を担当していて、「奮起」と「激怒」の2種類に関係します。

肝は、判断力、計画性、創造性、チャレンジ精神をリードしているので、肝の気が充実していると「さあ、やるぞ!」という思いと行動力をかき立てます。

しかし肝に不調が起きてくると、イライラしやすくなったり、興奮して怒りっぽくなったり、周囲にあたり散らすなど、激怒しやすくなります。


●五月病におススメのケア

疲れすぎて、気と血が消耗してしまったり、気と血の流れがうまく巡らなくなってくると五月病になりやすくなってきます。
疲れすぎて身も心も消耗してしまっていると感じている方や、イライラしやすい気持ちになっている方には次のようなケアがおススメです。

●とにかく休む。寝る

疲れは休むこと、睡眠をとることでしか解決できません。一見「休む」というのは後ろ向きな感じもしますが、人生を積極的に生きるためには、休むことも必要です。
休むことも、生きることです。

●骨を休める

なかなか眠れないという方は、横になるだけでもOKです。横になるだけでも体は重力というストレスから解放されますので、骨や筋肉への負担が軽減されます。

よく「骨休め」と言いますが、血液は骨髄から作られますので、背骨を重力から解放してあげることで血液も作らやすくなります。

●食べ過ぎない

疲れたら、精をつけるために「肉を食べよう!」「うなぎを食べよう!」と考えがちですが、消化にはかなりのエネルギーを使います。消化にエネルギーを使うよりは、疲れ切った体の修復にエネルギーを使いたいので、あまり食べ過ぎることはおすすめできません。
疲れた時はむしろ小食でOKです。ただ、水分不足にならないように、お水はよく飲んでください。(特にお白湯はおススメです)

●のんびり、ゆったり動く

肝の気は、のびのび自由な性質があるので、抑えつけられと怒りが爆発しやすくなります。気の流れ、血の流れも悪くなり、体の調子も悪くなります。

ゆったりした気持ちで自分の心も体も解放してあげて、気と血の流れを詰まらせないようにしてあげましょう。

ゆっくり動くというのは、なかなか難しいことですが、自分でコントロールしやすい動きとしては、「食事をゆっくりよく噛んで食べる」というのがおススメです。
咀嚼という一定のリズム運動は、心の安定ホルモンであるセロトニンが発動しやすいと言われているので、よく噛むというだけもストレスリリースになります。


●五月病におススメの足ツボ

① 疲労困憊でパワーが欲しい方には「合谷」「足三里」「関元」「三陰交」

疲労回復、滋養強壮には「合谷」「足三里」がおススメで、この2つのツボはセットで使うとより強力です。
「補中益気湯」という有名な漢方薬があって、疲労困憊でパワーダウンした「気」を補う代表的な補気剤ですが、この「合谷」「足三里」のセットツボは、ツボでいうところの補中益気湯と言われています。

●合谷(ごうこく)
場所は、手の甲で親指と人差し指の骨の間の凹みです。(押すと痛気持ちいところです)


●足三里(あしさんり)
場所は、膝のお皿から自分の指4本下で、脛骨という骨の外側のキワのラインです。


●関元(かんげん)
場所は、おへそのから自分の指4本下です。
「関元」は「丹田」とも言われていて、人間のエネルギーが充実する場所と言われています。


●三陰交(さんいんこう)
体力を消耗すると、血も減ってしまって、全身の細胞への栄養供給も減ってしまいます。体に血を満たしつつ血流をよくする代表的なツボは、なんといっても「三陰交」です。
場所は、足の内くるぶしから自分の指4本上で、脛骨という骨の内側のキワのラインです。

※お灸は、火の力を体に伝えますので、元気エネルギーをパワーアップさせたい時にはお灸がおススメです。なければ、ツボ押しでもOKです。


② ストレスリリース、リラックスしたい方には「太衝」「内関」「三陰交」

●太衝(たいしょう)
イライラしやすかったり、ストレスが溜まりやすい方におススメです。心も体も解放されて、ストレスリリースにはもってこいのツボです。
場所は、足の甲で親指と人差し指が交差するVの字の凹みです。


●内関(ないかん)

「内関」思っていることがなかなか表現できなかったり、感情を抑えて苦しい時、心がザワザワしている時におススメです。
酔い止めのツボ、妊婦さんのつわり止めのツボとしても大変有名です。
場所は、手首の腺から肘に向かって自分の指3本上で、骨と骨の間の凹みです。


●三陰交(さんいんこう)

「三陰交」気持ちが詰まると、血の流れも悪くなります。血の流れをよくする代表的なツボは「三陰交」です。
「三陰交」は、補血といって、体に血(栄養)を補いたい時にもおススメですし、瘀血といって、血流の悪さ、ドロドロ血液をスムーズに流したい時にもおススメです。
場所は、前述のとおり。

※余分なものを取り去る時は、お灸ではなく鍼がおススメですが、自分で鍼はできませんので、ツボ押しでOKです。


●おわりに

5月病は、誰でも起こりうる症状です。

疲れすぎていないか、
電池切れを起こしていないか、
無理が続いていないか、
清々しい気持ちでいるか、
我慢をしていないか、
自分を抑えつけていないか、
自分をよく観察してあげましょう。

そして、自分の人生の充実のために、気と血を満たしつつ、詰まってしまわないように巡らせてあげましょう。


●information

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